蘭妖子&昭和精吾ツーマンライブin名古屋「寺山修司の世界」からの手紙/こもだまり



日時=2006/05/06
会場=涅槃-NEHAN-(名古屋市今池)

第一部 蘭妖子コンサート
第二部 昭和精吾


Nへ

2006/05/06


名古屋市民会館での「国際寺山修司学会」の総会を終え、会場に来ていたストロベリー・ソング・オーケストラの座長の好意に甘え、車で今池へ移動。大荷物のうえ、時間が押していたので本当にありがたい。1年前に共演した、座長・ヨシエさんと、スタッフ・お客様の5人+昭和さん、蘭さん、イッキさん、私の9人。車に乗って落ち着いたところで、車内に犬神サーカス団のアルバム『神の犬』がかかってることに気づく。朝から蘭さんのCDを聞いて気分つくってきてたというのに!しかも凶子ちゃんの歌ならまだしも『決死隊』という、楽器隊の男三人が歌うナンバーで、なんだか力が抜ける(笑)。座長に「犬神じゃないですか」というと「車にあったんでね」なんて話していると次の曲へ。このアルバムはラップあり、寸劇ありの変わったアルバムなのでなかなか普通の楽曲にならない。そのうちに昭和さんが「これ、凶子の声じゃない?」と言い出す。「そうです。ちょっと前のアルバムですね」「最近どうしてんの?」「こないだ新らしいアルバムが出ましたよ」なんて話をしていると蘭さんが「あらいいじゃない。なんてバンド?」と反応したのが『洗脳』のオープニング。「犬神サーカス団って東京のバンドなんですけど、昭和さんとは何度か共演してて、『時代はサーカスの象にのって』と『仮面劇・犬神』に出てもらったりしたんですよ」などと説明。犬神の回し者みたいなので座長に「さっきから犬神の話ばっかりしてますけどいいんですか?自分の所のアルバムかけて宣伝するチャンスですよ」と振る。「そや、うちの新曲きいてもらお」と座長が言い、ストロベリー・ソング・オーケストラのCDに変わる。
カーナビの案内で順調に今池へ。住所を打ち込んだので目の前の道までたどり着く。「あのブロックですね」「あ!いま今池スタービルって見えました」「うそや、こもださん、見えないっすよ」「いや、あのぶすっ子て店の看板の隣に・・・」「ぶすっこ?」「あ、俺ぶすっ子は見えた!」「ブスッコってどれや?」とブスッコブスッコの大賑わい(笑)。そんなこんなで「あ、ほんまや。ぶすっ子の奥にあるわ!こもださん目いいですねえ」などと和やかに到着。

5時15分、会場到着、オーナーの戸軽さんに挨拶、オペ室のことは魔茶さん(小洒落たHGみたいな感じ)に、と紹介される。なにしろ開場まであと45分と時間がないのでイッキさんと私は必死のセッティング開始。私はまずスライド。オペ卓のカウンター前壁に載せるしかないという。幅15cmくらいの高い場所に50cm四方の重いものを載せるんだから怖い。イッキさんがガムテで固定してくれる。昭和さんにみてもらって、大きさを設定、ちょっと近いので、スクリーンから多少はみ出してしまうのはご愛嬌。 座長がお土産をくれて「じゃあ俺ら近所で開場するまで待ってるんで」と去ろうとするのを昭和さんが「いくところあるの?」と引き止めたら、察して快くセッティングを手伝ってくれてた。すみません。
照明卓の説明を受けて、舞台上からの明かりはなくて、客席からの斜めの明かり4本と、ゼラ(色)の入ったでっかい転がし(しかもひとつの転がしに赤・青・紫・緑がまとまっている、つまり、一カ所からしか色は出ない)、スモーク、目つぶし、ストロボ、客電を把握。(目つぶし・客電はフェーダーなしでon/offのみ)、さて、照明プランをどう実現させるか??


とりあえず暗めの照明が好みの昭和さんなので、しぼったスポットを作ったり・・・(写真は終わってほっとひと息のふたり。この頃はまだ終演後にこんな笑顔が出るとは思えなかった・・・)
ばたばたの中、改めて開場。客席で待ってもらっていたお客様を一旦外に出して、受付してもらう。
イッキさんとわたしはこれまでにない過酷な仕込みに疲れ果て、「もう今日、私たち出なくていいよねえ?」「出たいのは山々だけど、つらいよねえ?」「泣いても、いいかな?」なんて弱音を吐きながらテンションを上げ、段取りを確認する。

第一部 蘭妖子コンサート
1,五月の詩
2,飛行機よ
3,のぞきからくり赤い帯
4,曲馬団エレジー
5,短歌「田園に死す」
6,宵の明星(劇中歌)
7,しあわせそれともふしあわせ
8,世界の涯まで連れてって
9,惜春鳥

第二部 昭和精吾
1,暴に与ふる書
2,恐山和讃
3,長篇叙事詩 李庚順
4,日本自殺考(朗読/こもだまり)
5,スーパーマンの詩(朗読/イッキ)
6,一白水星(『おさらばの辺境』より)
7,仮面劇「犬神」よりワンシーン 8,弔辞 力石徹よ
9,鞍馬天狗(「邪宗門」より) 9,寺山さん自身朗読の短歌十首(テープ)
10,エンディング


蘭さんが自然体でお客様に話しかけながら、歌に入ると世界にばっちり入るところ、それでいて歌の中で話しかけるところではごく自然な感じになる。その切り替えと呼ぶには美しすぎる態勢が、すごくいいなと思った。天井桟敷で育まれたスタイルなのかもしれないけれど、長く舞台に立っていてこそできることだと感じる。
昭和さんは地方へ行くとサービス精神でついついいっぱいしゃべってしまって、詩の数が減ってしまうのがもったいない(今回も時間の都合で「俺のどこかに20歳がある」「国歌論」が急遽カットになった)。名古屋でこの形式でやるのは初めてだから今回はお話たくさんヴァージョンでもいいけれど、内容だけで構成したシンプルなヴァージョンもぜひ、またやってほしい。



終わってばらしたあと、ストロベリーソングオーケストラの面々と、我々とで打ち上げ。蘭さん、苺楽團の溶接工・ヨシエさんとツーショット(ヨシエさん、素顔だけどいいのかな?)



涅槃に紹介してもらった安い宿に雨の中移動。シャワーを浴びて、男部屋・女部屋に分かれて眠る。


朝目が覚めたらイッキさんから電話。「今日、名古屋城、どうする?タクシーで行っても30分くらいかかるみたい。荷物もあるしさ、どうしよう?」身支度を整えて、男部屋に集合。雨には勝てず、ゆっくり朝ご飯を食べて帰る事にする。名古屋駅に向かって、朝ご飯を探してうろうろする(今にして思えば、外の喫茶店に入って、名古屋名物のモーニングセットを食べればよかったのだが・・・コーヒーを頼むといろいろついてくるという噂を確かめそびれた)。地下鉄で名古屋の地下鉄のキャラを見つける。駅構内でパスタの店で、私は名古屋コーチン入りパスタを食べた。念願の名古屋コーチン(いつだか寝言で「名古屋コーチン食べたいね」と言ったことがあるらしい)。
おみやげに、金しゃち饅頭と、きしめん、天むすを買って新幹線へ。
昭和さんは行き一緒じゃなかった分を取り戻すかのように、一番離れた席の蘭さんと思い出話をしゃべるしゃべる。昭和さん、楽しそうだったなあ。静岡を通る時には「シーザーは静岡だよねえ」とか、桟敷の人々のレア話がたくさん出て来た。
蘭さんのCDを二枚とも(一枚は持ってるけれど実家なので)買って、サインをしてもらった。「まりちゃんへ」と・・・ 昭和さんの朗読CDも作って、サインして売ろうか。昭和さんに言ったら乗り気だったので、スタジオ録音するかライブ版にするかはわからないけれど、まじめに考えよう。

そんなわけで、東京に帰ってもやることはたくさんあるみたい。
昭和精吾さんは6月の頭、A・P・B-Tokyoに客演するし、忙しい日は続くようです。


まり

 





report indexに戻る