修司の扉
寺山さんとの思い出 その22


寺山さんが持っている人形は謎の下宿人役である。
この公演は天井桟敷としてはあまり入らなかったし、劇評もいまいちであった。

思い出した。
上演二日目の事であった。 当時、つきあっていた女が見に来た。力が入った。
ダメ出しが始まった。 いきなり「昭和!もう少し上手くなってから女を呼べ!昭和が怒鳴れば怒鳴るほど客がざわーとシラケてゆくのがわからんか!」「上手くはなかったと思いますが凄くはやったつもりですが・・・・・」。
この日は舞台上から観客の頭がはっきりと数えられる入りであった。
上手い役者より凄い役者になれ!口癖だった寺山さんが上手い役者になれ! 「ほら、また来た、寺山エゴイズム」こうべをたれ延々とダメ出しを聞いていた。
大入り満員!、劇評絶賛!「昭和!台本と演出がいいんだよな」
客、不入り閑古鳥!劇評酷評!「昭和!役者が俺の言うとおりやってくれないからだめなんだよな」
二日目に客席いた女性は今の女房ではない。

 

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